2019/10/30 楽しい道徳の授業をつくる会in川口  学生のみなさんの感想

・初めて参加したのですが、実際に教員として働いている方の意見などが聞けて、勉強になりました。同じ一つの題材でも、視点を変えることで授業の内容が全くちがうものになり、子どもたちの考え方次第だということがわかりました。貴重な体験をさせていただきました。ありがとうございました。

・本日、このような学習会に初めて参加させていただき感銘を受けました。私が小中高生の頃は、道徳は教科化されていませんでしたが、それでも先生が落ち着けたい方向が見え見えで苦手でした。今は、教科化され、さらにそれが顕著になっていると予想されます。このような学習会で研究されている教材や内容、方法をとったら、生徒にとって歩み寄りやすい教科になるのではないかと思いました。

・今回のディスカッションを通じて、道徳の授業の在り方について考え方が変わりました。教材を選ぶところから何を伝えたいか、何がテーマなのかnよって、話のもっていき方が変わると思いました。また、生活指導をする上で道徳が基礎となるものだと思い、これから改善し考えることが大切だと思いました。人間形成される大事な時期なのでより議論する必要があります。

・これまで、「道徳の授業にはゴールがある」と教わってきました。しかし、どうやらこの考えは、子どもたちの思想を制限しているのでは、と思うようになりました。道徳の授業では、子どもたちが今までに触れたことのない感覚を知り、良い道徳観を身につけ、自己肯定をできるチャンスになるべきと、今回、改めて思いました。

・今回、初めて参加させていただき学校の授業で取り組むレベルとは段違いで、とても良い経験になりました。現状では道徳の授業が難しいとされている理由がよくわかりました。自分は道徳の授業をするならば、自分が授業の進行を思い描くのではなく、生徒によって拡げられていくものだと考えます。それには時間がないことなど様々な問題がでてきますが、それ以上に道徳という授業は大事なのだということを、今日、改めて強く思いました。

・「聴く」という言葉は、最近、コミュニケーションがどうだと話をする中でよく聞く言葉です。二十歳になって重要視されてしまっているこの言葉は、もっと幼い時に、伝える、感じてもらい、身につけてもらう大切さをもっと分かって欲しいと感じました。学校での道徳の授業とは違い、現場の先生の考え方、年代のちがった方の考え方を聞けて、考えて学ぶ事が多かったです。有り難うございました。

2018/08/29   楽しい道徳の授業をつくる会in川口 参加者のコメント要旨

 1. 教師同士の対話が大切だと、あらためて思いました。多忙と無関心の中で、こういった対話がなかなか現場でできないのが問題ですね。 若い先生の授業づくりをサポートする今回のやり方は参考になりました。職場で似たような勉強会ができるといいと思います。

 2. 絵本の持つ文章(物語)の力と絵そのものの力を改めて感じました。 1年生にも何度か読み聞かせをした絵本で、どの子も自分にあてはめて考え盛り上がる作品でした。高学年にも十分扱える深い作品ですね。すてきな絵本、まだまだたくさんありそうです。

 3. どうやってねらいに近づけるかということばかり考えてしまっていたなと感じました。そのために型どおりにばかり進めてしまっていました。 今回の教材では、すごくリアリティーがある内容で気持ちに寄り添うことができるなと思いました。自分だったらどうなのか、自分に返す中で、考えをひろげていけたらいいのかなと思います。対話をしっかりとさせるために発問の仕方はしっかりとかんがえなくてはいけないと思いました。とても勉強になりました。

 4. 道徳は大切だ。でも、上から言われた通りの道徳ではない。目の前の子どもにとって、今一番必要な道徳の内容は何なのか? それが大切だ。 「ブレイクスルー」の道徳の授業(Tさんの提示資料)について、もっと詳しく知りたいです。 人権問題を扱った道徳の授業の実践が聞きたいです。

 5. 自分だったら・・と考えて行くうちに、道徳の授業をやりたくなってきました。こんなにも柔軟な頭と心!なんてすてきな先生でしょう! 今日、あらためて思ったことは、民主的道徳の授業を成立させる学習集団をつくらねば、ということです。

 6. ひとつの教材を大勢で考えることは楽しいな、と思いました。授業をするのが楽しみになります。楽しい道徳ができそうな気がしてきますが…。

 7. 「もう一つのねらいは対話力をきたえること」というのは、ありだと思いました。対話がうまくできなかった二人の話で、対話の大切さを実感してもらうというのはなるほど。 ところで、道徳の授業は作りこめば作りこむほど悪い意味での教え込み(インカルケーションではなくてインドクトリネーション)に近づくと思うがどうでしょう。

 8. 教科書について考えるだけでないので、頭をとても使い、勉強になりました。  今回の会で、様々にひっかかる点がありました。例えば「ドラマチックとリアリティーは共存するのか」など、自分になかった視点でした。「絵本」という特性をとても考えさせられました。

 9. 具体的な道徳授業づくりについて話し合えて充実した時間でした。絵本を教材として使用することについては時間をかけて検討したいですね。

10. 今回、絵本を取りあげた教材ということで、内容項目、柱立て、発問や最後の落としどころなどを、1から決めることのたいへんさを痛感しました。私は、1から考えるとなった時に、内容項目に気を取られていました。しかし、型にはまらない対話的な授業の視点を知ることができて良かったです。子どもの考えや意見を大事にした授業づくりに励んでいきたいと思います。

11. 報告者の先生のすてきな読み聞かせをうっとりして聞きながら、6年生の子どもたちだったらどんな発問、手立てをとれば「議論」が活発になるかを考えさせていただきました。こんなすてきな絵本を発見できる報告者のすばらしい感性にも敬服します。

12. 非常に勉強になりました。私のグループでは、対立軸を中心に話し合いました。途中まで読み、葛藤場面で話し合わせるという展開でした。 皆さんの意見を聞いて、2時間扱いにするというアイデアや教材のもつ魅力に着目するというのは、今までにない視点でした。 最後のディベートの資料(Tさんの提示資料)、すごいと思いました。

13. 対話の中に道徳あり、どうしたら主体的に対話がさせられるかいつも悩んでいます。今日、その答えのひとつが見つかった気がします。教材のもつ力が、子どもたちを話したくなるようにさせてくれるのですね。こういう教材を通して意見の言える子どもたちにしたいです。

14. 毎回、会を重ねるごとに明らかになってくることがあります。

  ①「これなら、授業をやってみたい」「自分ならここをねらう」というイメージが持ててくる。

  ②教師の性(さが)でしょうか。授業では「教えなければ」が前提のように感じやすいですが、道徳は、決めた価値に落としてはならない、ということ。

  ③教材化の視点を明らかにすること。

 今後も継続ですね。

15.(報告者コメント)本日は貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

  絵本には指導書も何もないので、“1から自分で考える” という私の苦手分野、そして克服しなければならない課題に正面から向き合えると思い挑戦させていただきました。先生方のたくさんの考えをお聞きすることができ、正直、また悩んでいます。でも、この悩みは今までの悩みと違います。上手く言葉にできませんが、なんだかとても。

16.「教材が授業を規定する」この本を選んだ報告者の教師としてのセンス。すごいです。これは誰にも教えられません。

 若いっていいね。だれにでも、何でも聞けるから。教えてもらえるから。経験を積めば積むほど教えてもらいにくくなる。そんな自分を振り切って聞くというのは、ひとつのたたかいだね。私も心がけています。

 授業を見せてもらうときでも、感心しているだけではだめ。いい授業には必ず秘密がある。タネがある。手品師のそれのように、前面にはでてこないが、きちんと仕組まれたしかけがある。それを解き明かして自分のものにしていくのが、授業を見せてもらう意味。だから、何でも聞く。問題意識がきちんとしていれば、相当なことを先輩から引き出すことができる。でも、今は「何をきいていいのかわからない」のかもしれないね。早く「聞くこと」が見えてくるといいね。

 だからって、何でも教えてもらおうと思ったら大間違い。一番大事なことは、教えられないんだ。ケチで言っているんじゃない。教えたくても、言葉にできないし、伝える術がない。「センス」というやつだよ。これは自分でつくるしかない。

 自分でもできそうだと思ったら、まねをする。これを「盗む」という。そのとき「まねさせてもらいます」とか「いただきます」とか言って相手にあいさつする。すると「おっ、こいつ、やるな…」ということになる。どこまで盗めるか楽しみだとも思う。

 まねしようとしても、実践というのは教師という人格を通り抜けてはじめて成り立つものだから、人格が未熟だと歯がたたないものもある。でも、先輩とはちょっとちがうのだけれども自分なりのものとして身に付くものもある。これが結構、教えた側よりもいい形になっていたりすると、今度は教えた側が「逆輸入」することになる。

 これは、私がMさんを担任していた頃、教育実習生に対して出していた通信の一部です。「センス」は自分で磨くしかありません。報告者のセンスがまぶしい。今回は「逆輸入」させてもらいました。授業に使える提示資料作ります。(K)

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みなさん、多くのコメント有り難うございました。いくつもの今後へのポイントがあります。継続して考えて行きたいと思います。

Tさんの「指導要領どおりやると憲法違反になる」という視点、さすがに社会科の先生。基本的人権の分類によれば ①内面性精神的自由権 ②外面性精神的自由権 ③経済的自由権 ④生存権的基本権 ⑤その他(人身の自由、労働基本権、平等の権利、など)

となっています。①は「憲法19条 思想及び良心の自由はこれを侵してはならない」で、人格形成のための心の中での精神活動の自由を保障しようとするものであり、絶対的な保障を受けるものです。授業のすすめ方によっては、教師が子どもの心を支配し、押しつけていくことになります。Tさんの言葉は、そこを指摘しているものと私は受け止めました。それは、7の「道徳の授業は作りこめば作りこむほど悪い意味での教え込み(インカルケーションではなくてインドクトリネーション)に近づくのではないか」という指摘とも重なります。今後も考えていきましょう。

皆様、ご参加、ありがとうございました。次回もぜひ。     (文責 K)